若者のこころの不安に対する啓発、早期対応を

教育現場での統合失調症の啓発について

 6月議会の一般質問では若者の精神疾患、特に統合失調症の学校現場での取り組みの必要性について質問しました。

 私たちの地域社会は、長く精神疾患についての正確な情報を持たず、さまざまな偏見を持ち続けたことにより、多くの精神疾患を持つ人が自らの病気を自覚することなく、治療につながることが遅れる結果を招いてきました。治療の遅れは、病気の重症化・慢性化を招き、本人や家族の生活を困難なものにし、更にそのことが病気に対する社会の偏ったイメージや偏見を生みだすという悪循環を生みだしてきました。

 昨年、厚生労働省は「今後の精神保健医療福祉のあり方に関する報告」の中で、精神疾患の早期発見・早期対応の重要性を述べています。特に、統合失調症は15歳から20歳の、脳が子どもの脳から大人の脳へとダイナミックに変化する発達期に生じやすい精神疾患であり、5人に一人の若者が幻聴などを体験していると言われています。しかし、報告の中でも、若者たちは精神疾患についての正しい知識を学ぶ機会がなく、つらい時期を過ごしながらも、専門的支援を求めることはない、周囲の保護者や先生も、こころの不調、病気についての正しい知識が不足しているため、発見、対応が遅れる結果を招いているとあります。

 報告にあるアンケート結果みると、統合失調症の認知度は著しく低く、中学生、高校生、大学生の90%以上が「聞いたこともない」「聞いたことはあるが、具体的なことは知らない」と回答しています。保護者も同様で「知っている」と答えたのは20%です。

 最近、明らかになってきた重要な事実として、発病後間もない時期に、適切な支援や治療を受けることができれば、若者の精神疾患の多くは、良好に回復すると言われています。そのためには、早期発見のための啓発、アクセスしやすいサービス体制、地域連携体制の構築が必要です。

 府中市では昨年、校長・副校長先生が統合失調症について研修を行い、その結果3名の生徒を専門相談機関につなぐことができたと聞きます。また、スクールソーシャルワーカーの相談から、専門機関や医療機関につながるなど、支援体制が徐々にできつつあるようです。今後は今春オープンした小児総合医療センターの小児精神科との連携など、是非学校教育と福祉・保健・医療の連携モデルの構築を目指してほしいと思います。