選挙から1ヶ月が経ちましたが、少し振り返りたい日々があります。
3月29日に84歳になる夫の母を見送りました。
昨年夏以来、癌の治療を受けていましたが、最期の1ヶ月は痛みがひどく、移動も大変になり、選挙の期間中だけでもと介護療養型の病院に入院してもらいました。
初めての病院で全身状態を看た担当医は、かなり状態は悪いこと、どのように看取るかを話し合っておきたい、と切り出しました。
と言うのは、介護療養型の病院では医療の内容に制限があるので延命治療は出来ないため、もし延命治療を望むのであれば最期は転院する必要があるからでもありますが、これまでの総合病院では癌や肺炎への治療はあっても、母の全身状態についての話はほとんどありませんでした。ましてや、看取りについてなど、医師から聞いたことはありませんでした。それは介護保険対応の介護療養病床だからかもしれませんが、とても重要なことだとも思いました。
母は以前より延命治療は望まない、痛みの治療だけは十分にして欲しいと言っていたことを告げました。
また、食事がほとんど取れなくなった状況で、点滴をするかどうか、痛み止めの使い方についてなど、母にとってそれがいいことなのかどうか、悩みながらの選択でしたが、その都度医師の説明は丁寧に繰り返されました。
その後、少しずつ容態は悪化し、入院して2週間で母は逝ってしまいましたが、会いたい人にも会え、私たちも病院の仮眠室に泊り込んで最期を看取ることができました。
悲しくはあるけれど、十分に向き合えた死でもありました。
本当は選挙が終わったら、在宅で最期を迎えられたら、と思っていたのですが・・・
このことから、終末期医療のあり方について考えてみたいと思っていたところ、あの羽田澄子さんの最新映画「終わりよければすべてよし」の上映と在宅医療のシンポジウムがあり、行ってきました。
羽田さんは80歳を越えた自分のために作った映画だと話していましたが、どのように死にたいか、それはすべての人に共通の重要な課題であるはずです。希望する死の迎え方を保障する在宅医療のあり方をスウェーデン、オーストラリアや岐阜県のサンビレッジ・小山市の太田医師の在宅医療ネットワークに取材し、5ヶ月で仕上げたというこの映画は、つい2ヶ月前に私が体験したことに重なります。「オーストラリアでは人間の死を考えなければ良い医療は出来ない、スウェーデンではスタッフワークが出来なければ良い医療は出来ないと言っていた」と羽田さんは話していました。
また太田医師は「すべてを海外に真似るのではなく、文化や宗教を含めて日本の終末期医療・在宅医療がどうあるべきかを考えたい」とのコメントがありました。映画は6月2日から岩波ホールで上映されます。