ごみ問題はどこに行くのだろう その2

オリックス資源循環(株)の現地視察

 今年6月以降、市は二枚橋衛生組合の閉鎖によって処理できなくなったごみの一部(事業系可燃ごみ・年間約11,500トン)を県域を越えて埼玉県寄居町の処理工場に持ち込んでいます。それは一般廃棄物(市民や事業者が日常生活で出すごみ)の処理責任は自治体にあるため、二枚橋がなくなったからごみ収集は止めました、とは言えないからではあります。一方で自分たちの出したごみが、遠く埼玉県まで運ばれることに何か違和感もあります。それならごみが運ばれるルートを埼玉まで行って、処理されるところを見てこよう、ということになりました。

 府中から中央道に乗り開通したばかりの圏央道を経由し、関越道を小川インターで降り一般道、という約90キロの道のりは府中のごみが運ばれるルートでもあります。目的の「彩の国資源循環工場」は金融業のオリックスが運営する施設で稼動1年になります。この地域は埼玉県の最終処分場の埋め立て地で、近くには森林公園などもある緑いっぱいのところです。東京の三多摩地域もそうですが、海に最終処分場を持つことが出来ない、というなかで自然が豊かなところにこのような施設を作らざるを得ない、という似通ったところがあります。その上、その埋立地に堆肥工場など9つのごみ産業を誘致している、という埼玉県の逆転の発想というか、凄いところです。

 担当者の説明では、あらゆるごみが2千度という高温によって、金属や塩素などの物質と、酸素や二酸化炭素などにガス化され、灰など残渣が全くでず、全てリサイクルされるとのこと。担当者の「これからは行政が(ごみ)現業を持つ時代ではありませんから」と「府中とも末永いお付き合いを」という言葉には、自治体の一般廃棄物も企業の営業の対象になっているんだ・・・という変に目からうろこが落ちたようなきがしました。

 でも、そうなったらごみ減量などどこかに飛んでいってしまうのではないかと思います。自治体は面倒なごみ処理をやってもらえれば助かるし、全て資源化されるのだから資源循環型社会の理念にも合うし、一方で企業としてはごみが無ければ仕事にならないのでますますごみを求める・・・、という変な循環型社会になってしまうのではないでしょうか。

 府中のごみ問題も近視眼的に見るのではなく、様々な視点から俯瞰的に資源循環社会を目指す新たなシステムを考えなければいけないと埼玉まで来て改めて思いました。

(写真左:施設に運び込まれた廃棄物、写真右:再資源化されたスラグ)