社会保障制度と民主主義

 11月25日に府中市男女共同参画推進フォーラムの一環で、医療制度改正についての学習会をネット企画で行いました。
講師は参議院厚生労働委員会調査室主席調査員の小林仁さん。
小林さんからは「昭和36年に国民皆保険がはじまった。そもそも保険とは10人の社会で、1年に誰か一人が病気になるとすると、一人一人が自分かもしれないと100万円を蓄えるのは大変、10人(社会全体)で100万円プールしておけばいい、一人一人は10万円を出し合う、それが保険料。皆保険は社会の効率化のためにもいい制度として普及してきた。しかし、高齢化の中、10人に一人が病気になる社会から2人が病気になる社会になり200万円用意しなければいけない、また医療費も上がり、一人に200万円かかるかもしれない、さらに日本の人口は100年後には今の半分の6000万人になる。当面の財政面だけで制度を論じていいのか?」という大きな投げかけがありました。
さらに「国の予算約80兆円、そのうち40兆円が義務的経費でその半分の20兆円が社会保障費、年金、医療、介護、の割合がほぼ7:5:1となるが、これらを誰がどのように負担するのか、お金だけで考えていては制度はぼろぼろになる、役所に制度設計をゆだねていてはけして良くならない」と公務にある人からこんな言葉が出るとは・・・
そして「よく北欧の社会保障は進んでいるというが、北欧の人はよく『私たちの政府』という言い方をする。自分たちが政府にしっかりとコミットメントしていると実感している、民主主義は日々の実践であり制度としてあるものではない、もし日本の社会保障制度が良くないというのであれば、それは自分たちの民主主義が十分ではないということ」うーん・・・。
ちょうど12月議会には後期高齢者医療制度を運営する広域連合の規約案がだされますが、「広域連合も医療に特化した政府を作るということなのだから、その議員構成も自治体議員への振り分けではなく直接公選制にすべきだろう」との小林さんの説明に、改めて国民健康保険、介護保険などのあり方を考えてみると、それが十分には保障されているとは言えません。
 改めて、社会保障制度もすでに決められたもの、との発想ではなく、自分たちの安心のためにはどのような制度がいいのか、継続的に学習し、議論する場が必要だと思いました。思ったら作らなければいけないんでしょうね。
小林さんの学習会資料、いくらか残っています。必要な方はネット事務所にご連絡ください。