「委員会視察から」

8月に入り連日暑い日が続きます。心から暑中お見舞い申し上げます。
7月27〜29日と総務委員会の視察で北海道の登別市と室蘭市に行ってきました。
視察目的は登別市の「まちづくり基本条例」と室蘭市の「ミニ市場公募債」についてです。
この2つのテーマは、地方分権後、行政改革に積極的な自治体が先駆的に取り組んでおり、特に北海道は自治条例で有名なニセコ町などもすぐそばにあり、刺激しあうところがあるようです。
登別市は温泉で有名なところで、小学校時代を札幌で過ごした私にとっては、修学旅行で行った懐かしいところでもあります。市役所は山中の温泉とは離れた太平洋側に位置していました。
担当の職員からは、行財政改革のなか、市民との協働は不可欠であり、そのためのルール作りとして行政側が呼びかけるかたちで1年半前にまちづくり基本条例検討委員会がスタートしたこと、公募に応じた市民26名全員と職員10名、若い世代として市内の専門学校の学生6名による委員会には、専門家をあえて置かずゼロからの検討を進めてきたこと、これまでの町内会単位の地域意見を変えるため新たなコミュニティ作りをめざしていることなどの説明がありました。(条例案は登別市のホームページに掲載されていますのでご覧ください。)
それなりの情報公開も行いながら案も出来上がり、行政側はこの6月議会に提案したかったようですが、町内会などから説明不十分との意見もあり9月に延びたそうです。それと議会との調整が難航しているのでは、という感じがしました。というのは、説明の場に議会を代表して総務委員長が同席していたのですが、「条例の中に議会のあり方について条文化しているが、いかがなものか。町内会も地域のなかでは上手くいっている。一部の公募市民意見でよいのか」などいたくご不満の様子でした。
いくつかの自治基本条例制定の経緯のなかでも、議会のあり方、市民参画との整理の仕方など議論になっており、登別市もまだそこはクリアしていないようでした。
その意味では、今自治体職員が感じている将来予測の中で、財政問題も含め市民との協働を進めない限り立ち行かなくなるだろう、という危機感が議会にはまだ伝わっていないような気がしました。
おそらく、議論を重ねる中で、市民や議会の中でも、「自治体とはなにか」ということへも立ち返っていくのでしょう。そのきっかけを投げかけたことは大きなことだと感じました。
府中では「自治基本条例」検討の動きもありませんが、「市民との協働」が言葉としてだけ行きかい、市民と行政、議会のなかでも概念のすり合わせもなく進んでいることは、大きな問題でしょう。考えさせられる視察でした。