もっと雨水(あまみず)を活かそう

雨水博士 村瀬誠さん講演会から

 「都市に住む私たちは雨を迷惑だと思っていませんか?」
墨田区の国技館の屋根に降る雨水を、地下の貯留槽にためトイレなどに活用するシステムを提案したことで有名な元墨田区の職員村瀬誠さんはこのように話を始めました。

私たちの住む都市はコンクリートに覆われ、降った雨の2割しか地下にしみ込んでいません。ほとんどが下水道に流され、地下水への循環ができなくなっています。さらに近年の気候変動による集中豪雨により下水がオーバーフローし、洪水を起こすことも珍しくありません。

村瀬さんはもう一度昔の日本人が持っていた「雨によって私たちが生かされている」という発想を持つべきだと言います。たとえば田んぼは稲を育て、治水にもなり、冷却効果もありました。
都市の雨を「流す」から「溜める」への発想の転換、それが生かされたのが国技館です。

東京都民の水道水源は多摩川水系と利根川水系に依存しており、その利根川水系にある八ッ場ダムの建設問題にもつながり、東京都民として自分たちの水問題を考えるべきでしょう。
村瀬さんは東京都には水利権がないと思っているかもしれないが、小さなダム(雨水貯留槽)をたくさん作ることは東京の水利権を確保することになる、八ッ場ダム議論の前に雨水を溜めよううという発想があってもいいはず、「水源の依存から自立へ」「水の循環があるまちづくりこそ正常なまち」と提案しています。

また阪神淡路大震災は都市のライフラインの弱さを露呈しました。これからはライフポイント(貯水・プロパン・浄化槽)を考えることが必要だろう、との提言もありました。

村瀬さんの雨水活動は国外にも広がり、最近はバングラディッシュへいくことが多くなったそうです。その話は次に・・・