雨水(あまみず)を活かそう ②

日本の雨はどこで生まれる?

 村瀬さんの墨田区での実践は、今世界へと広がっています。そこには日本以上に厳しい水事情があり、さらにそこに異常気象による気象変動が重なり、国が政策的に雨水利用を広げているところも多くあります。

 台湾の動物園での雨水利用、韓国ではビルの雨水利用を促進させるために、地下に雨水貯留槽を作ると、ビルを1フロア分高くすることを認めたり、中国ではあの北京オリンピックの鳥の巣競技場も雨水利用でした。ドイツのガソリンスタンドでは、隣の小学校からの雨水を車の洗車を行います。

 村瀬さんが力を入れている支援先に最貧国ともいわれる「バングラディシュ」があります。干ばつと水害が交互におり、飲料水は泥水でも使わざるえません。以前に国連が井戸掘削支援をしましたが、井戸水がヒ素に汚染されていることが分かり使用は禁止されました。また、輸出用のエビの養殖のために、マングローブを伐採して養殖場を作っていることで、海水が上昇し、池も塩水になり飲料水にはできません。

 なぜ「バングラディシュ」にこだわるのかを、村瀬さんは「日本の雨はバングラディッシュの方の雲から来る、日本の食べ物のおいしさは雨量の多さにによるのだから」と言います。バングラディシュへの恩返しでしょうか。そのスカイウォータープロジェクトの特徴は住民自らが立ち上がり有償で雨水タンクを付け、少しずつお金を返済していく、いわゆるマイクロファイナンスの手法で、その地域の人が自立して維持できる仕組みを提案しています。

 よく21世紀は水の世紀だと言われますが、それはけしてよい意味ではなく、世界紛争の原因が石油から水に変わるだろう、という意味です。シンガポールはマレーシアに水を依存しており、2011年からはその供給量が半分になります。そのため、シンガポールでは徹底した水教育が行われています。中国では黄河の水不足が深刻になり、上流と下流での水紛争が懸念されています。国連が予想する紛争地帯はすべて古代の大河地域であることは、考えさせられる現実です。

 村瀬さんは「雨水で平和を、no more tanks(戦車for war.thanks(雨水タンク) for peace!」と話を終えました。