中国残留邦人支援が自治体窓口で始まります

 先週金曜日の朝日新聞に、今年4月から中国残留邦人の新支援策が実施されるとの記事が出ていました。内容は、改正中国残留邦人支援法が昨年11月に国会を通り、老齢基礎年金の満額支給、生活を補う生活支援給付制度や、市区町村に生活相談窓口の設置と自立支援員の配置がやっとスタートするというものです。

 中国残留邦人とは敗戦時に中国にやむなく残った婦人や孤児で、日中国交回復後帰国された方々ですが、帰国時の一時的な支援はあったものの、その後の日本での定着や自立はとても厳しく、住居・就労・医療・日本語習得や連れだって帰国した配偶者や子どもたちの教育など、さまざまな課題を抱えながらの生活で、厚生労働省の調査でも過半数が生活保護で生活されています。また、今回の改正でも対象にはならなかった2世、3世の問題も大きく、差別や生活不安が恒常化しています。このような状況に対し「人権回復」を求めて裁判に訴え、そのことが今回の法改正につながっています。

 この支援法改正について、府中市内で1月末に帰国者ご本人と支援の弁護士さんから直接お話を聞く機会がありました。
 その中で、市の担当者が歴史認識をしっかり持って、人権の視点から対応しなければ、この支援制度も生かされないということを実感しました。それは市の担当者だけのことではなく、地域で共に暮らす私たち一人一人の問題でもあります。

 この支援事業費が、府中市の2008年度予算の中でも「新規事業」としてあげられていますが、当事者の方たちからお話を聞かなければ、「単なる法改正に伴う事業の予算化」程度にしか受け止められなかったかも知れません。同じ予算もそれを誰がどのように執行するかで中身が変わってくるのです。

これは全ての事業予算にいえることですが、それらの予算審議も含めての3月議会が明日(2月18日)から始まります。傍聴にお出かけ下さい。

*中国残留邦人問題の資料資料:岩波ブックレットNO.666
               「国に棄てられるということ」