住民基本台帳閲覧の不思議

 長かった9月議会が3日に終わりました。
今回の一般質問では「住民基本台帳の大量閲覧」を個人情報保護の視点から質問しました。
住民基本台帳は、住民票をおくすべての市民の姓名・住所・性別・生年月日を一覧にしたもので、法律によって原則公開、つまり誰が見てもいいものとなっています。
これは個人の住所などを公に証明するものとして、公開することが住民サービスであるとの解釈によるものですが、法律ができた時と現在では社会状況が変わってきました。
特に「不特定大量閲覧」はアンケート調査やダイレクトメール発送など営業目的に使われることが多く、たとえば成人式の振袖のダイレクトメールなどは、不特定大量閲覧で20歳になる女性を選び出して名簿にしたりします。それが今年3月までは30分300円で閲覧できたのです。30分で20〜30人の情報が写せるそうですから、一人当たり10円程度で情報が得られたことになります。さすがに今年の4月から府中市は5000円に大幅値上げをしましたが、大量閲覧がなくなった訳ではありません。
 このように、さまざまな問題があることから、総務省は今年4月、見直し検討協議会を作り、10月には一定の方向性を出すようですが、法律改正とまでいくのか、またいったとしても効力を持つまでには時間がかかります。それを待ってはいられないと、いくつかの自治体(熊本市、小平市、調布市など。他にも9月議会で出されたところもあります。)
では独自の条例を制定し、公共性の確認できる大量閲覧のみを認めるような規制をかけています。市民としてみれば、これだけ個人情報の取り扱いに慎重さが求められる時、市の窓口から合法的とはいえ、自由に情報が持ち出されていることはおかしな話で、条例を制定した自治体の対応は当然だと感じます。
また今回の質問をするに当たり、府中市の実情をと昨年4月から3ヶ月間の閲覧請求書の情報開示を求めました。その閲覧請求の中に、その後アンケート調査を装った悪徳商法で消費生活条例と特定商取引法に基づく行政処分を受けた事業者の請求を見つけました。府中市民がその悪徳商法の対象になった可能性があるということです。質問では、市に対してストレートにその事実をぶつけ、「市民の個人情報をまもるために条例を制定すべきでは?」といいましたが、答弁は「全国一律の法律にのっとりやることであり、独自の判断はできない。10月の総務省見解を待つ」との姿勢は変わりませんでした。
 条例を制定した自治体は法律の解釈議論を重ねた中で、市民の個人情報を守る、ということを最優先に考えた決断だったと聞きました。府中市にも踏み込んでほしかったのですが、まだ先のようです。それまでは変なダイレクトメールやアンケートには注意してくださいね。