4年前の市議選で、私が訴えたテーマのひとつは「介護と医療の連携」でした。それは、10数年前に脳梗塞の後遺症で寝たきり状態の実母を、在宅で介護した経験に基づきます。
病後リハビリも含め1年半の病院生活から、やはり病院は生活の場ではない、と強く思い在宅での介護をスタートさせたのですが、一番大変だったのは往診してくれるお医者さん探しでした。入院先の病院からは十分な情報はなく、自分で探すしかありませんでした。在宅介護といっても、医療は不可欠です。また、在宅を支えてくれる医師も、何かあった時の入院先の確保には苦慮し、いざとなったら、救急外来に担ぎ込むしかなく、そんなことも数回はありました。それでも、介護保険前の行政サービスと、往診してくれる医師の存在があり、最期を自宅で看取ったという、地域の医療連携のなさをヒシヒシと感じた、これは10年以上前のはなし。
今、介護保険制度スタートから7年、「介護と医療の連携」は進んでいるのでしょうか。昨年の改正では地域包括支援センターの重要な役割として地域連携機能を果たすことがあげられました。
もちろんその連携先のひとつには医療機関があるはずです。
よく「介護と医療の連携モデル」で取り上げられるのは、尾道の医師会の取り組みです。月に1度、本人の介護、医療に関る全ての専門家がケアマネの呼びかけで集まり、それぞれの情報を共有し、本人にとって最善の選択をしていきます。そのことで、介護と医療の連携体制は確保されるという、制度改正にあたっては、このモデルが全体化されることを期待していました。
しかし、地域包括の調整能力にこの機能を求めることは難しいと言わざる得ません。それは、つい先日、今度は85歳の夫の母が体調を崩し入院、介護と医療の連携のなさ、というより、制度上の不都合が10年前とはまた違った問題を引き起こしているのに直面しているからです。これまでおばと二人で自立した生活を送っていた母は、半年前に病気がみつかり、食欲の衰えから体力が落ち、初めて介護保険を申請、介護度1の判定で週一回ずつの訪問介護と訪問看護を依頼しました。ケアマネの方の対応もよく、やっと信頼関係が関係者ともできつつあったのですが、今後を考えて介護療養型病床への入所を決めたその矢先、体調不良で緊急入院してしまいました。その場に駆けつけてくれたケアマネの方は、これまでの訪問看護記録を持ってきてくれ、医師とも今後の生活も含めての治療方針が話せるものと思いましたが、そんな場面はありませんでした。介護保険のケアマネは医療の部分には意見がいえないのでしょうか。医療はあくまでも患部に対しての対応で、その後介護療養型病床への転院確認も家族がせざる得なく、病院同士あるいは病院のソーシャルワーカー間での調整など出来ないものなのかと思います。
また、ちょうど介護保険の再認定の時期にも重なっていますが、病院入院中は申請手続きが出来ないとのことで、制度は必ずしも本人中心には進んではいない現実を目の当たりにしています。
老いの最後は、そう制度に沿って行くわけではありません。
「介護と医療連携」を制度がさらに複雑にしている気がします。